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秋の夜長の奇妙な話
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発端は全く不測の事故だった。
長い(普遍的に計算するのは難しいのだが)人生、それなりの艱難辛苦を舐めてきたが、これほど途方に暮れたことはおよそ初めてと言ってよい。事実、俺は己の知識の中から何の対処法も見つけられずにいる。
それは隣にいる朱天も同様らしく、立ち尽くした末に発せられたのは
「・・・・・・どうしたらよかろう?」
およそ建設的とは言えぬ問いだった。迦雄須の代理を務めたこの男にして、この体たらく。俺などには荷が勝ちすぎるというものだ。
だが黙っていても埒があかない。仕方なく答えを返した。
「どうもこうも、知らぬ顔で逃げるしかあるまい」
「お前・・・、それは余りに無責任であろう。いくら我々の存在が人に知られぬとは言え、せっかく落ち着きを取り戻した人界に混乱を持ち込むのは避けるべきだ」
どこまでも律儀な男である。いささか大袈裟な気もするが、妖邪界のいざこざが人界に及ぶのは確かに拙い。さりとて、巧い解決法がそう簡単に転がっていたら苦労するものか。
俺はしばらく考えてから、半ば投げ遣りに呟いた。
「どこかから砂を運んできて修復するしかないな」
ほんの思い付きだったが、言ってしまってから実際それ以外の方法はないことに気付く。
「・・・よし。夜が明ける前に何とか始末をつけよう」
朱天の決断は早かった。穏やかな双眸に強い意志の光が宿る。こうなったが最後、梃子でも動かないことは今までの付き合いから骨身に沁みて知っている。
悪夢の一夜の幕はこうして上がった。



「何ィ、天橋立をぶっ壊したぁ!?」
その小童の第一声は予想以上に取り乱したものだった。
「静かにせい。隣人が起きてしまうわ」
俺は慌てて周囲の気配に耳を澄ませた。幸い叫びは漏れなかったようだ。
天空は眠気を振り払うように、二、三度頭を振った。
「お前らなあ、こない遅うにいきなり訪ねてきた思たら、よりによって何ちゅうことを。あそこは観光客がようけ来よるから、どえらい騒ぎになるで! しかも今度は新宿の時と違て人もいてるし、富士山みたいに自然現象でも誤魔化せへん・・・ったく・・・」
そのまま脱力して机に突っ伏してしまう。
「それを避けるためにここへ来た。力を貸してはくれまいか?」
朱天が床に両手をついて頭を下げた。
拍子抜けするほど潔い態度に、天空は怒りを削がれたらしい。顎をしゃくって頭を上げるよう合図をする。
「まあ、やってもたもんはしゃあないんやけど。今、現場はどうなってる?」
「<霧の回廊>を巡らせてきた。外からは見えぬし入ることも叶わぬ筈だ」
「ああ、アレか。で、どうする気なんだ?」
「どこかから砂を運んできて、欠けた部分を埋めようと思う」
天空は一瞬名状しがたい表情を作ってから、また頭を抱えた。
「・・・それ以外ないだろうな。あー、考えるだけで頭痛え」
「そこを曲げて頼む。我らは人界の地理や世情に疎いゆえ、お前が頼りなのだ」
対する朱天は悲愴感さえ漂う面持ちである。己の不始末に対する悔恨はもちろん、この若武者達をもう妖邪界の騒乱に関わらせたくないという心中がにじみ出しているようだ。実際、我々が天空の許を訪ねたのは苦渋の選択だった。
それを察したのか、
「分かった分かった。とりあえず事情を聞かせてもらおうか」
天空は大きなため息と共に腰を上げた。


妖邪界と人界は本来ならば決して交わることのない鏡合わせの異世界である。
存在を構成する原理が根本的に違うため、人界の原理を用いた巧機は妖邪界ではほとんど機能せず、妖邪界の物質は人界で長く姿を留めることができない。妖邪に干渉できる人間は迦雄須一族やサムライトルーパーなどの異能力者だけであり、人間に触れることのできる妖邪は何かに憑依するか桁外れに強大な怨念を抱く者だけである。
だが先の戦いで阿羅醐は二つの世界を統合すべく、理に逆らって境界を破ろうとした。幸い完全に道が開かれる前に元凶が倒れ、取り返しのつかない事態だけは回避されたものの、一旦崩れた均衡は容易に元に戻るものではなく、未だにその影響が残っている。
すなわち、妖邪門以外の「界の綻び」。
これは周囲の空間を歪めるだけでなく異界への抜け穴となるため、ここを通って人界へ迷い出る妖邪が後を絶たない。阿羅醐亡き後の妖邪界を収拾するだけでも手一杯だと言うのに、そういった不心得者を始末し、綻びを繕うのも我々の役目なのだ。
今回天橋立に生じた綻びは、発見が早かったおかげで妖邪が迷い出る前に先手を打つことができた。しかし何がどう作用したのか、綻びを閉じた拍子に繋がっていた部分が消滅してしまったのだ。
そして俺と朱天が奔走する羽目になった訳である。


現場に着いた天空は、無惨に途切れた白砂の帯を注意深く観察した。
「こいつは<等価消滅>ってヤツだな」
「等価消滅?」
「ああ。存在する次元の異なる物質同士が何らかの理由で同じ条件下、同じ質量を以て衝突した場合、消滅してしまうことがあるんだ。量子電磁力学なんかで言う<対消滅>と似てるが、物理的エネルギーが放出されない点と<対生成>が確認されない点でオカルト現象に区分される」
「ふむ・・・。つまり生成物や反応熱を一切伴わぬ中和のようなものか?」
自分なりの解釈を延べると、
「その通り! 呑み込みが早いな、那唖挫は。オヤジの助手にスカウトしたいくらいだ」
有り難いのか有り難くないのか分からない誉め方をされた。
「痛み入る。丁度こちら側の科学とやらを学びたいと思っていたところだ」
「じゃあ今度大学に・・・」
「それより消滅した砂をどこから調達するかだが」
ずれてゆく会話を朱天が打ち切った。
「ああ、そうだった」
慌てて当面の問題に意識を戻す。
天空が周囲を見渡して目算を弾いた。
「消失部分はざっと見10%。砂は複数の場所から分けて集めなきゃならんだろうな。運搬は何とかなるとして問題は松の木だ。どう見積もっても八百本・・・こいつは骨だぞ」
「多少の難儀は厭わぬ。我らにできることなら何でもしよう」
天空は腕を組んでじっと考え込んでから、はたと顔を上げた。
「朱天、那唖挫。手分けして伸と秀を呼んできてくれ。俺は征士と遼を連れてくる」
「他の者の力も借りるのか?」
朱天が戸惑いの色を示す。
「緊急事態だ、仕方ないだろ。何、あいつらだって否とは言わないさ。同じ鎧戦士だからな」
先程とは打って代わった親身な申し出に複雑な心境になった。
「かたじけない」
朱天の方は至って神妙に厚意を受け取り、感謝を述べた。
「場所分かるか?」
「鎧の共鳴を頼りに探れば、おそらく」
「よし。じゃあなるだけ急げよ!」
言うや否や、天空は青い光の球となり、天に還る流星のごとく夜空に吸い込まれた。そしてあっと言う間に見えなくなる。さすがだ。あれならいかなる遠路とて一飛びだろう。
我々は妖邪界の者のみが通れる「道」を使い、各々水滸と金剛の許に向かった。

寝入りばなを叩き起こされた水滸はお世辞にも機嫌が良いとは言えなかったが、事情を話すと二つ返事で引き受けてくれた。
「おぬしらも人の好いことだ」
「日本三景の一つを台無しにされちゃ、たまんないからね。それにあそこは色々と思い出深い場所なんだ」
水滸は淡く笑ってアンダーギアを装着した。

天橋立に戻ると、すでに他の者は全員揃っていた。
「おー来た来た。んじゃ、さっさと始めてサクサク終わらせようぜ」
金剛が立ち上がって伸びをする。
「本当におれ達の力で何とかなるのか?」
烈火は怪訝そうにしている。
「せねばなるまい。天橋立は日本の宝だ」
光輪はすでに武装して準備万端といった様子だ。
「手順を説明するぞ。いいか」
天空は仲間を集め、砂浜に簡単な地図を画いた。
「まず秀にはこの野田川上流の丹後山地から砂を削り出してもらう。伸は宮津湾沿いの海岸の砂を波に乗せて運んでくれ」
「ちょっと待て。何でオレは山なんだよ?」
「天橋立は地学的に解析すれば、宮津湾の波が運んだ砂と野田川が運んだ石英質の砂が沿岸流によって堆積してできた砂州だ。だから両方の砂が要る。波は伸の担当だし、山やら土やらは秀の十八番だろう」
「オレはブルドーザーかっ!?」
「砂の質なんて素人には分かんないと思うけど・・・そこまで専門的にやる必要、あるの?」
「俺は智の戦士だ。やる以上は完璧を期す!」
有無を言わさぬ断言である。金剛と水滸は気迫に押され、半ば自動的に首を縦に振った。
「よし。じゃあ二人は先に始めてくれ。くれぐれも人に見られるなよ」
「はいはい、分かりました」
「人使い荒いぜ、智将サマは」
水滸と金剛はぶつぶつと不平をこぼしながらも、指定された持ち場に散っていった。

「それで、我々は何をすれば良いのだ?」
光輪が勇んで問うた。が、
「砂が流れ着くまでの間、松ぼっくりを拾う」
答えを聞いた瞬間、凍り付いてしまう。
松ぼっくりだと?
「・・・当麻、すまないがもう一度、分かるように言ってくれ」
烈火が遠慮がちに問い直した。
「だから、松ぼっくりから種を取って育てるんだよ。砂浜と一緒に松も消えてしまっただろう。幸い磯清水(※天橋立の中心付近にある湧水。海水でなく真水である)は無事だし、植物の生育に不可欠な熱と光と酸素も揃っている」
得意満面で烈火と光輪と自分を指差す天空。
「おれ達は温室なのか・・・」
烈火ががっくりと肩を落とした。
「松など辺りの海岸にいくらでも生えておろう。適当なものを見繕って移植すればよいではないか」
「簡単に言ってくれるが、条件を満たす樹を探すのは大変だぞ。そんな効率の悪いことをするくらいなら最初から育てる方が確実だ。第一使えそうな松が生えている海岸はほとんど国立公園だ。礼の戦士が国の持ち物を窃盗していいと思ってるのか?」
「では聞くが、砂は良いのか、砂は」
「砂なんぞいくらでも誤魔化しがきく! 松は引っこ抜いたらモロバレだろうが」
凄まじい理屈だが当を得ている。森林破壊の進んだこの現世で八百本もの松を一度に調達するなど、不可能な話だろう。
「けど、一晩でこんな大きさになるかな・・・」
烈火が不安そうに松の幹をさすった。
「自信を持て、遼。俺達の鎧の源は人の心と自然の力だ。正しき心と自然の摂理に従えば、必ず鎧は味方してくれる!」
本当だろうか。横目で朱天を見ると、頬が痙攣していた。迦雄須が生きていたら真偽の程を質してみたいところだ。
しかし烈火は充分納得したらしい。
「そうか、・・・そうだよな。自然を直すのに自然の力を借りるのが悪いことの訳がない。これもサムライトルーパーの使命なんだ。おれはやるよ、当麻!」
力強く頷き松林の中に走り去ってゆく。これが<仁>の心というものなのだろうか。
一方光輪は、明らさまに疑惑の眼差しを注いでいた。
「どうした、征士?」
「いや、理屈は分かるが気乗りがしない」
「何が不服なんだ? お前、盆栽が趣味なんだろう」
「盆栽というのは天然と人工の調和の美学だ。植林とは違う」
「基本はどっちも栽培だ。松の八百本や八千本育てられないで樹を語れるか」
「生兵法はケガの元だ。砂地で松が育つのにどれだけの時間がかかると思っている?」
「心配いらん。こっちには無公害の超化学肥料がある!」
天空の右腕が派手な軌跡を描き、俺の前でぴたりと止まった。
「・・・つまり、俺に作れと?」
「もちろん。お前の得意分野だろう」
激しく目眩がしてきた。
いくら俺の鎧が薬を生み出せるとは言え、松の木八百本分・・・完成する頃には命が尽きているやもしれぬ。遺言状をしたためておくべきだろうか。
朱天が錫杖(鎧玉を変化させている)を掲げて黙祷した。・・・やめてくれ。
光輪は諦めたのか、剣を砂浜に突き立て、鬼気迫る勢いで松ぼっくりを拾い始めた。
天空は波に混ざった砂を確認し、天橋立の俯瞰写真が載った小冊子を朱天に渡した。
「お前は流れ着いた砂を集めてくれ。元と同じ形になるようにな」
「心得た」
用意周到、適材適所。確かにある意味天才だ、この男は。敵に回したくないが、共に戦うのはもっと願い下げたい。


人の悲喜を嘲笑うように、夜は刻々と更けてゆく。
砂がたまったところから順に、塩分を中和し肥料を施して、松の種を植えていった。
烈火が暖め、光輪が照らし、天空が風を操って気温と湿度を調節する。秋、神不在の神無月、まるでこの霧の中だけが常春の国になったようだ。
天空の弁はあながち出任せでもなかったらしい。必然か奇蹟か、芽を吹いた種はたちまち生長し、周囲に見劣りしない立派な林を作った。
「感動的な光景だな」
錫杖を鍬がわりに砂を掻き集めていた朱天が、しみじみと述懐した。
当たり前だ。何しろこちらは命を懸けているのだからな。

半分を復元し終えた頃、水滸と金剛が前後して戻ってきた。
「必要な分は確保した。すぐに流れ着くと思う」
「こっちもだ。川はちょっと濁っちまったけどな」
二人とも汗だくで肩で息をしている。
「ごくろうさん。しばらく休憩してくれ」
天空は自らは手を休めずに労った。
「君達こそ休んだ方がいいんじゃない? みんなすごい顔色だよ」
水滸の心配通り我々の疲労は限界を迎えつつあったが、休んでいる暇はない。夜が明ける前に片を付けなければならないのだ。
「よし、オレも手伝うぜ。大地の力もあった方がいいだろ」
「僕も。植物には水が必要だ」
金剛と水滸は殊勝にも加勢を買って出た。
土と水が加わったことによって、落ちてきていた進捗が再び上がる。
それからは誰もが無言だった。疲れと眠気で次第に思うように動かなくなる身体を気合いで保たせ、残り三分の一にまでさしかかる。

と突然
どこに持っていたのか、光輪が尺八を吹き始めた。
「なっ、何だァ!?」
「どうしたんだ、征士?」
うろたえる一同。
「いや、植物の生育には音楽が良いと聞いた覚えがあるのでな」
光輪は悪びれもせず答えた。
「ああ・・・、そう言えばおれもそんな話、聞いたことがある」
烈火が相づちを打つ。
「ホントかよ?」
「サボテンが人の言葉を理解するってのなら知ってるけど・・・」
「それも相当マニアックだぞ、伸」
「まあ、ものは試しだ。ちょっと歌でも歌ってみるか」
天空の提案で、小童達は声を揃えて歌い出した。

“待ち合わせは夜 ミュージアムの前だよ
恐竜をちょっと目覚めさせてみようよ・・・”


珍妙な歌詞が尺八の伴奏に乗って霧の回廊に響き渡る。所々奇声のような合いの手が入るが内容は聞き取れない。しかも約一名、大幅に音程を外している奴までいる。とても音楽と呼べた代物ではない。やっと終わったかと思ったら二番がある始末だ。
鎮静剤でも打ってやろうかと思った時、赤い稲妻が霧を貫き地面に刺さった。
歌声がぴたりと途切れる。
「そんなに騒々しくては育つどころか枯れてしまう。真面目にやってくれぬか?」
いつの間にか武装していた朱天がドスの利いた低い声で鄭重に注意した。
「危ないじゃねェか! 当たったらどうすんだ!?」
「案ずるな。死なぬ程度に加減してある」
「鬼か、お前はッ・・・って鬼だっけ」
「そう言えば朱天は雷を使えるんだよな。これが松じゃなくて椎茸だったらよかったのに・・・」
烈火が自分と同じ身丈にまで育った松を見つめ、心底残念そうに漏らした。
「? 何ゆえ椎茸なのだ?」
「椎茸は雷が鳴るとよく育つんだ」
・・・・・・一体どこから仕入れてくるのだ、その知識は?
「恐らく放電現象で生じるプラズマが影響してるんだろうな。椎茸は菌類だから成分組成の90%以上が水だ。水分子中の電子が・・・」
「当麻、余計な頭脳を使う余裕があるなら手許に集中しろ!!」
光輪が一喝するが、天空は講釈をやめようとしない。目の焦点が定まっていないところを見るに半分寝ているのだろう。光輪は説得を断念して般若心経で対抗した。
「中華料理には欠かせないんだよなー、椎茸。焼き椎茸、蒸し椎茸、干し椎茸・・・」
「干し椎茸は料理じゃないだろ、秀」
「うっせえ! 腹減って頭がボ〜ッとしてんだよ!」
水滸と金剛が訳の解らぬ口論をする隣で、烈火は双剣を振り回してインドネシア伝来の<収穫祈願の踊り>とやらを始めた。
これが極限状態になると分泌されるという脳内麻薬・ドーパミンの効果だろうか。それでも全員、作業だけはしっかりと続けているのが恐ろしい。
「皆、しっかりするのだ! あと少しで終わるぞ」
朱天の叱咤も虚しく、混乱には拍車が掛かるばかり。

「ああっ! 夜が、夜が明けてしまうー!」
「落ち着け、遼。こうなったら最終手段だ」
「どうするんだ、当麻?」
「時間を止める!」
「そんなことできるのか!?」
「為せば成る、為さねば成らぬ何事も。サムライトルーパーに不可能はない!!」
「よく分からぬができそうな気がしてきたぞ」
「オレもだ。何か不思議な力が湧いてきた」
「みんな、今こそ心を一つにするんだ!」
「いくぞ、せ〜の」

「「「「「時間よー、止まれっ!!!」」」」」

小童達は横一列に並んで見事な見得を切った。
無論、時間が止まる訳などない。だが、
「よし、今のうちだ!」
「おう!」
全員すっかりその気になっている。心なしか松の成長も加速したようだ。思い込みの力は素晴らしい。今ならさぞ濃度の高いドーパミンが搾り取れることだろう。
「朱天、ぼさっと突っ立ってないで早く砂を!」
「那唖挫も肥料を撒いて」
人外魔境と化した歌枕の中、俺は気絶したいのを必死で堪えて最後の肥料を調合した。
そして東の空が白む頃、やっと修復が終わったのだった。


曙光を反射する白砂に五人の少年が横たわる。精根尽き果て武装は解けてしまっている。
「皆よくやってくれた。学校もあることだし、家に送り届けてやらねばなるまい」
朱天が慈悲深い笑みを浮かべ、光輪と金剛と烈火を担ぎ上げた。
あれ程重労働をした筈なのに、どういう体力をしているのだろう、この男は?
座り込む頭の上に情け容赦のない声が降り注いだ。
「那唖挫、すまぬが伸と当麻を頼む」




この後どうやって城に戻ったのか全く覚えていない。
数日後、朱天は椎茸栽培を始めた。理由を聞かれても、俺は答える気になれなかった。
世の中には知らずとも良いことがあるのだ。



【終わり】



■泉 静流
前回よりさらにぶち壊れてます。これのどこがナァ様&当麻君お誕生日話なんでしょう・・・?
<等価消滅>は勝手な造語で、元ネタは『まりんとメラン』だそうです。




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