脚本:泉 静流 / 作画:なかだゆりか / 演出:泉 鏡一



【四】帰る日

丁度ガシュウラが朱天をダストシュートに落とそうとしているところ。
ナス:「だめーっ!!」
必死に朱天をつかまえ、かばう。
ナス:(ガシュウラに)「いや、あっちへ行って!」
嬢:(じりじりと詰め寄って)「そんなゴミは放っておいて、わたくしと遊ぶのです」

あんまし違和感ないね、迦雄須(笑) その時ナスの肩に張り付いていた鳥が光を放つ。現れたのはアラゴと同じ白い髪に編み笠を被った老婆(?)
嬢:「母さま!」
老婆:「やれやれ、母親と私の区別もつかぬか・・・」
老婆、手にした鳥型の錫杖を嬢にかざす。嬢、花吹雪に包まれ仔猫になってしまう。
老婆:「少し静かにしておれ。さて、娘」
ナス:「あっ、あなたは誰?」
老婆:「私はアラゴの双子の姉・カオス。娘よ、そこの鎧武者を渡すのだ。そ奴は私の大切な鎧玉を盗んだ」
ナス:「嘘! 朱天はそんなことしないわ!」
カオス:「信じずとも良い。が、報いは受けてもらわねばならぬ。さあ」
カオスが進み出た瞬間、朱天の鎖鎌が一閃。カオスを脳天から両断する。
カオス:「不覚・・・」
カオスは消え、紙切れだけが残る。
だが動いた反動で2人は嬢を巻き込んで、ダストシュートへ真っ逆様に転落。

ナス:「きゃあぁぁーっっ!!」

不気味な影の蠢く奈落に届く寸前、朱天が目を覚まし、壁に鎖を引っかけて体勢を立て直す。落下の方向がずれ、3人はボイラー室の通風口にダイビング。
ナァ爺:(降ってきたナスの下敷きになって)「うわぁぁあぁ!?」
ナス:「すみません! 朱天、しっかりして!」
朱天、覚束かない足取りで鎖鎌を振り回すが、ナスは構わずしがみつく。すると山の神からもらった勾玉が光り、朱天の武装が解ける。
ナァ爺:「何事だ、一体? そ奴は朱天か?」
ナス:「ナァザさん、どうしよう、朱天が死んでしまう」
ナァ爺:「その程度の傷で死にはせん。まあ、気付けに青汁でも呑ませておくか」
ナァ爺、朱天の傍に転がっている半透明の小さな玉を見つけて
ナァ爺:「これはカオス一族の守る鎧玉ではないか!」
ナス:「じゃあ朱天は本当に盗んで・・・」
ナァ爺:「アラゴも無茶をやらせおるわ」
ナス:「わたし、カオスにこれを返して謝ってくる!」
ナァ爺:「正気か? あの魔女は化け物だぞ」
ナス:「それでも行かなきゃ。場所を教えて」
ナァ爺:「仕様がないな。ちと待っておれ。(抽斗をまさぐり)おお、あったあった、連絡船の切符。四百年前のものだがまだ使える筈だ。六つ目の『美玉湖』という港で降りろ」
ナス:「ありがとうございます!」
ブルドーザーに轢かれても壊れない男
潜り戸を乱暴に開け、アヌビスが登場。
アヌビス:「ナス、こんなところにいたのか! 上はえらい騒ぎだぞ。妙な二股烏帽子の客がお前を出せって」
ナス:「分かりました、今行きます。ナァザさん、朱天をお願いしますね」
ナァ爺:「うむ。がんばれよ」
ナス、急いで上に向かう。

アヌビス:「?? どうなってるんだ? 何ゆえ朱天がここに・・・」
ナァ爺:「解らぬか。愛だ、愛」


上客専用の大座敷。
アラゴ:「遅いわ、ナス! 悠長に猫など拾っておる場合か」
嬢、自分のことが判らぬアラゴにショックを受ける。
座敷に入り二股烏帽子の男と対峙するナス。
二股烏帽子:「ナスの望みは何じゃ? 何でも出してやろうぞ」
ナス:「わたしが欲しいものはあなたには絶対出せない。どうぞお引き取りください」
二股烏帽子、再びキレてナスを食べようとする。
ナス:「わたしを食べるなら、その前にこれを食べて」
ナス、勾玉を二股烏帽子の口に投げ入れる。
二股烏帽子、身体の内部から浄化されて悶絶。呑み込んだものを次々に吐き出しながらナスを追って階下へ走る。

裏の勝手口。アヌビスがたらい舟で待機している。
アヌビス:「ナスー、無事か!? げっ、あいつ、ついて来やがるぞ」
ナス:「いいの、荒誤屋から出てくれれば」
アヌビス:「このお人好し! そこが港だ。後は一人で行けるな?」
ナス、頷いて埠頭に降りる。
アヌビス:「ナスーっ、生きて帰ってこいよー!! 二股烏帽子、ナスに何かしたら叩っ斬るぞオラァっ!」


スゴい3人連れ・・・
ナス、二股烏帽子・嬢と一緒に連絡船に揺られ、六番目の港へ。錫杖に道案内され、カオスの館に到着する。

ナス:(頭を下げて)「これ、お返しします。朱天のことを許してあげてください」
カオス:「うむ。あ奴も本意でやった訳ではあるまい。アラゴとの契約に縛られ逆らえぬのだ」
ナス:「朱天は自分の本当の名前を忘れてしまってるんです。何とか助けてあげられませんか?」
カオス:「名前を思い出せずとも、真を智り、人を信じ、礼を尽くして正義を行う心を取り戻せば呪縛は解ける。案ずるな」
カオス、二股烏帽子を自分の使役霊にし、家の仕事を手伝わせる。
ナスは朱天や5人の助手が気になって落ち着かない。
ノックの音。
カオス:「迎えが来たようだ」
ナスがドアを開けると、朱天が立っている。

朱天がどうやってここに来たかはつっこまないこと ナス:「朱天!」
感極まって朱天に抱きつくナス。
朱天は無言で抱き締め返す。
そのまま2人の世界に突入。
カオス:「朱天の目覚めは近いようだ。これでナスも元の世界に戻れよう」
嬢:(突然少女の姿に戻って)「それはなりませぬ!」
カオス:「何?」
嬢:「お二方、今こそわたくしと力を合わせてアラゴを倒し、『荒誤屋』を乗っ取るのです」
朱天:(渋い顔で)「おぬし藪から棒に何を・・・、アラゴは実の親であろう」
嬢:「子供はいつか親を超え、独り立ちするものです。此度のことでわたくしは目が醒めました」
ナス:「だからってお母様を倒すなんて・・・」
嬢:「成功した暁には、ナス様の連れを人間界に返して差し上げましょう。お二方には終身雇用と各種保険、庭付き一戸建ての終の棲家をお約束しますけど?」


荒誤屋。響き渡る雷鳴。紅い稲妻と星屑の雨が城を震撼させる。
アラゴ:(空の彼方に吹き飛びながら)「ヤなカンジ〜っっ!!」
そして・・・

遼・秀・征士・当麻・伸の5人は無事人間界に戻り、朱天とナスは新生・荒誤屋で末永く幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。

アヌビス:「めでたいのか?」
現場長:「さあ・・・」
嬢:「人事刷新ですわ。バリバリ稼ぎますわよ、皆さん!」
ナァ爺:「これも愛だ」

阿羅醐追放に協力した一味(笑)

【完】



一方、人間界では・・・
刑事A:「本当に何も覚えてないのか!?」
遼:「だから何度も言ってるだろう。おれ達にも何が何だか分からないんだ!」
伸:「遺跡調査の途中で遭難して、気がついたら4日も経ってたんです」
征士:「無実の若者を容疑者扱いするとは、立派な人権蹂躙だぞ」
秀:「どっちかってーとオレ達は被害者だって!」
当麻:「いい加減寝かせてくれ・・・・・・」

刑事B:(小声で)「これは精神鑑定行きですかね?」
刑事A:(さらに小声で)「バカ言え。白を切ってるに決まってるだろう。締め上げれば絶対、泥を吐くはずだ」
帰って来られたものの、行方不明のナスティを巡って尋問を受ける5人だった。

遼・秀・征士・当麻・伸:「ナスティ・・・、帰ってきてくれ〜っっっ!!」

=======今度こそ【完】=====




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