次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画
第1 理念(基本的視点)
1 労働者の仕事と生活の調和の推進という視点
企業とそこで働く者は協調して生産性の向上に努めつつ、職場の意識や職場風土の改革とあわせ、働き方の改革に自主的に取り組む。また、社会全体の目標として、週労働時間六十時間以上の雇用者の割合、年次有給休暇取得率、男女の育児休業取得率及び第一子出産前後の女性の継続就業率等の数値目標が掲げられており、こうした目標を踏まえた取組が求められている。
2 労働者の仕事と子育ての両立の推進という視点
子育てをする労働者が子育てに伴う喜びを実感しつつ、仕事子育ての両立を図ることができるようにするという観点から、労働者のニーズを踏まえた次世代育成支援対策を実施することが必要であり、特に、子育ては男女が協力して行うべきものとの視点に立った取組が重要である。
3 企業の実情を踏まえ企業全体で取り組むという視点
企業による次世代育成支援対策は、業務内容や業務体制の見直し等をも必要とするものであることから、企業全体での理解の下に取組みを進めることが必要である。
このため、経営者自らが、企業全体で次世代育成支援対策を積極的に実施するという基本的な考え方を明確にし、主導的に取り組んでいくことが必要である。
4 取組の効果という視点
次世代育成支援対策を推進することは、将来的な労働力の再生産に寄与し、我が国の経済社会の持続的な発展や企業の競争力の向上に資するものであることを踏まえつつ、また、個々の企業にとっても、当該企業のイメージ・アップや優秀な人材の確保、定着等の具体的なメ リットが期待できることを理解し、主体的に取り組むことが必要である。
5 社会全体による支援の視点
次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、国及び地方公共団体はもとより、企業や地域社会を含めた社会全体で協力して取り組むべき課題であることから、様々な担い手の協働の下に対策を進めていくという視点が必要である。
6 地域における子育ての支援の視点
各企業に雇用される労働者は、同時に地域社会の構成員であり、その地域における子育て支援の取組に積極的に参加することが期待されていることや、地域において、子育てしやすい環境づくりを進める中で各企業にも期待されている役割を踏まえた取組を推進することが必要である。
第2 計画期間
平成23年3月31日から平成25年3月30日までの2年間とする。
第3 目標
1 育児休業等(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号。以下「育児・介護休業法」という。)第二条第一号に規定する育児休業及び育児・介護休業法第二十三条第二項又は第二十四条第一項の規定に基づく措置として育児休業に関する制度に準ずる措置が講じられた場合の当該措置によりする休業をいう。以下同じ。)をとった従業員1人以上がいる。
特に,女子従業員であって計画期間において出産したものの数に対するその雇用する女子従業員であって当該計画期間において育児休業等をしたものの数の割合が十分の七以上である。
2 当該計画期間において、育児・介護休業法第二十三条第一項に規定する所定労働時間の短縮措置を講じて、その雇用する男性労働者のうち子の養育のために当該措置を利用したものが1人以上いる。
3 策定した一般事業主行動計画について、適切に公表及び従業員への周知をする(この計画書をホームページに載せるとともに,従業員に書面で交付又はホームページに掲載してある旨を伝達する。)。
4 次世代育成支援対策推進法及びこの法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がない(関係機関,行政庁等からの指示,指導等がない。又は,指示,指導等に適正に対処している。)。
第4 施策
1 基本事項
(1) 推進体制の整備
一般事業主行動計画の策定やこれに基づく措置の実施を実効あるものとするため、まず、管理職や人事労務管理担当者に対し、その趣旨を徹底することが必要であるとともに、子育てを行う労働者を含めたすべての関係労働者の理解を得ながら取り組んでいくことが重要である。このため、各企業における次世代育成支援対策の推進体制の整備を図ることが必要であり、その方策として次のような措置を講ずる。
ア 次世代育成支援対策を効果的に推進するため、人事労務担当者、労働者の代表等を構成員とした一般事業主行動計画の実施のための社内委員会の設置
イ 次世代育成支援対策に関する管理職や労働者に対する研修・講習、情報提供等の実施
ウ 仕事と子育ての両立等についての相談・情報提供を行う窓口の設置及び当該相談・情報提供等を適切に実施するための担当者の配置
(2) 労働者の意見の反映のための措置
仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備に対する労働者のニーズは様々であり、必要な雇用環境の整備を効果的に実施するためには、こうした労働者のニーズも踏まえることが重要である。このため、労働者や労働組合等に対する意見聴取をおこなう。
(3) 計画の公表及び周知
自社のホームページで公表する
この計画を就業規則の一部に位置づける。
就業規則と同様に事務所備え付けて閲覧可能な状態であるとともに,従業員に計画容の説明をおこなう。
(4) 計画の実施状況の点検
(1)のアの委員会が実施状況の点検をおこない、使用者に意見具申をおこなう。
2 その雇用する三歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者について、育児・介護休業法第二十四条第一項第三号の規定により、育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置又は始業時刻変更等の措置に準じて講ずるよう努めなければならないものとされている必要な措置を講じる。
該当者は,基本となる勤務時間の始期及び終期その他必要な事項を,個別事情に基づき事務局長と協議の上,設定できる。
3 所定外労働の削減、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十九条の規定による年次有給休暇の取得の促進その他の働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置を講じる。
歴年を超えてのいわゆる繰り越し年次有給休暇を禁止し,年において1回以上,従業員が自身の残年次有給休暇消化計画書を作成する。
第5 その他(一部努力目標を含む。)
1 雇用環境の整備に関する事項
(1) 子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を支援するための雇用環境の整備
ア 妊娠中及び出産後における配慮をおこなう。
イ 子どもの出生時における父親の休暇の取得の促進につとめる。
ウ より利用しやすい育児休業制度を検討する。
エ 育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備を検討する。
(ア) 男性の育児休業の取得を促進するための措置
「パパ・ママ育休プラス」の制度や専業主婦の夫でも育児休業を取得できることについての周知をする。
(イ) 育児休業に関する定めの周知
労働者の育児休業中における待遇及び育児休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項について、労働者に周知する。
(ウ) 育児休業期間中の代替要員の確保につとめる。
(エ) 育児休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上等
育児休業をしている労働者の希望に応じて、当該労働者の職業能力の開発及び向上等のための情報の提供、円滑な職場復帰のための講習、育児等に関する相談その他の援助を実施する。
(オ) 育児休業後における原職又は原職相当職への復帰を原則とする。
オ 短時間勤務制度の実施を検討する。
カ 事業所内保育施設の設置及び運営を検討する。
キ 子育てサービスの援助を検討する。
労働者からの委任を受けてベビーシッターを手配しをはじめとする援助を検討する。
ク 子どもの看護のための休暇の措置の実施
子の看護休暇について、一時間を単位とする取得を可能とする等の弾力的な利用が可能となるような制度等より利用しやすい制度を導入する。
ケ 勤務地、担当業務等の限定制度の実施
希望する労働者に対して、子育てをしやすくすることを目的として、勤務地、担当業務、労働時間等を限定する制度を講ずる。
コ その他子育てを行う労働者に配慮した措置を検討する
サ 諸制度の周知をはかる
(2) 働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備
ア 所定外労働の削減に有効な方策を検討する。次は検討例示である。
(ア) 労働時間等設定改善委員会をはじめとする労使間の話合いの機会の整備
(イ) 「ノー残業デー」や「ノー残業ウィーク」の導入・拡充
(ウ) フレックスタイム制や変形労働時間制の活用
(エ) 時間外労働協定における延長時間の短縮
イ 年次有給休暇の取得の促進
年次有給休暇の取得を促進するため、年次有給休暇に対する意識の改革を図り、計画的付与制度を活用するとともに、労働者の取得希望時期をあらかじめ聴取し、年間の取得計画を作成する。
ウ 短時間正社員制度導入・定着を検討する。
エ 在宅勤務等の導入
在宅勤務やテレワーク(情報通信技術(IT)を利用した場所・時間にとらわれない働き方)等は、職住近接の実現による通勤負担の軽減に加え、多様な働き方の選択肢を拡大するものであり、仕事と子育ての両立のしやすい働き方である点に着目し、その導入の推進を図る。
オ 職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識等の是正のための取組
職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識等の働きやすい環境を阻害する職場における慣行その他の諸要因を積極的に解消するため、管理職を含めたその雇用する労働者すべてを対象として、情報提供、研修等による意識啓発を行う。
2 その他の次世代育成支援対策に関する事項
(1) 子育てバリアフリーを検討する。次は検討例示である。
多数の来訪者が利用する社屋等において、子どもを連れた人が安心して利用できるよう、託児室・授乳コーナーや乳幼児と一緒に安心して利用できるトイレの設置等の整備を考える。また、商店街の空き店舗等を活用して、託児施設等各種の子育て支援サービスの場を提供を模索する。
(2) 子ども・子育てに関する地域貢献活動
ア 子ども・子育てに関する活動の支援
地域において、子どもの健全育成、疾患・障害を持つ子どもの支援、子育て家庭の支援等を行うNPOや地域団体等について、その活動への労働者の積極的な参加を支援する。
イ 子どもの体験活動等の支援
子どもの多様な体験活動等の機会の充実を図るため、職場見学を実施すること、子どもが参加する地域の行事・活動に企業内施設や社有地を提供すること、各種学習会等の講師、ボランティアリーダー等として社員を派遣すること、子どもの体験活動を行うNPO等に対する支援を行うこと等に取り組む。
ウ 子どもを交通事故から守る活動の実施や支援を検討する。
エ 安全で安心して子どもを育てられる環境の整備を検討する。
(3) 企業内における「子ども参観日」の実施を検討する。
(4) 企業内における学習機会の提供等による家庭の教育力の向上を検討する。
保護者でもある労働者は、子どもとの交流の時間が確保しにくい状況にあるとともに、家庭教育に関する学習機会への参加が難しい状況にあるため、企業内において、家庭教育講座等を地域の教育委員会やNPO等と連携して開設する等の取組により、家庭教育への理解と参画の促進を図ることを検討する。
(5) 若年者の安定就労や自立した生活の促進
次代の社会を担う若年者の能力開発や適職選択による安定就労を推進するため、若年者に対するインターンシップ等の就業体験機会の提供、トライアル雇用等を通じた雇入れ又は職業訓練の推進につとめる。
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