◆伊政府、法王庁と対立 〜電波公害で最後通告〜 バチカン放送局の電波が送信所周辺の住民に被害を与えているとして、 イタリアのボルドン環境相が、今月中に出力を下げないと、 電力供給を停止すると「最後通告」した。 これに対し法王庁は十七日、「話し合いの精神に反する」と強く反発、 特別な関係にある両者の異例の対立に発展している。  バチカン放送局はローマ郊外の送信所から世界に約四十カ国語で 放送電波を発信しているが、周辺住民から強力な電磁波により 電気器具などの異常が絶えないとの苦情が続出しているほか、 周辺で白血病の発生が多いとの主張もある。  イタリアでは二月に初めて電磁波公害規制法が成立。 送信所周辺住民の訴えによりバチカン放送局の幹部三人が 起訴されたが、十二日に予定された初公判は手続き上の 理由で秋まで延期された。  法王庁は、一九二九年のラテラノ条約により送信所も治外法権で、 イタリアの法的規制も司法権も及ばないとの立場。 だが、ボルドン環境相は、健康の問題に治外法権はないと強硬だ。 【3/18 ローマ日英同】