2003年 10月 御斉(おとき) 5月 降誕会(ごうたんえ)に思ったこと
3月 贅沢で綺麗な食事?    

 

 

御斎(おとき)

 報恩講は、親鸞聖人33回忌の時、本願寺3代目の覚如上人が聖人御真影の前で、そのお徳を讃える”報恩講式”を讃嘆したのが、始まりだそうです。
 その後、親鸞聖人の祥月に1週間の法要を勤めることを”報恩講”と呼ぶようになりました。これを「御正忌報恩講」と呼び、富山では「ごまんさん」と呼んでいます。
 各寺院で一斉に勤めることも出来ないし(お寺同志の参りあいもありますし)、沢山の人にお参りしてもらいたいし……というので、農作物の収穫が終わってから各寺院バラバラに日程を決めて勤めるようになったのです。

 報恩講といえば、欠かせないのが御斎です。
 ”斎”という文字は「つしみ」を意味し、お釈迦様の時代に、行の間は昼12時までしか食事できないという制限を表していました。その名残で、仏飯は午前中に下げるという決まりとなっています。
最近は朝ご飯を炊かないお宅もありますから、朝に仏飯を上げないお宅もあると思いますが……
 また、精進とは仏道に励む、努力するという意味があり、転じて、魚・肉・酒・香辛料をとらない食事のことです。
 当寺では、油揚・里芋・大根などの煮物が、評判良いようです。まだ食べたことが無いという方は、是非1度お参りください。

 今はお浄土に往かれた大谷嬉子本願寺前お裏方が書かれた本に、
私ども、浄土真宗の見教えをいただくものは、厳しい戒律に生きると言うことはありませんが、毎月の宗祖
(親鸞)聖人のご命日をはじめとして報恩講のご法要の折、また永代経法要の時、お精進をする習慣になっています。
心してお精進をして、常々どうしても殺生せずには生きられない私を、あらためて振り返れば、そのような私であるからこそ、み仏さまのご本願に救われる身であることを、聖人を、また親しい故人を偲びながら、喜ぶことができると思います。
また、それぞれの寺院の伝統の御斎は、遠い先祖と、同じ念仏に生きているという思いを深めることができるでありましょう。
そして、その御斎が継承されて、また未来を生きるであろう子孫にも、そのおもいが伝わって欲しいと思います。

と、あります。

 私の家庭では、祖父母・父の命日など精進日としております。
 いつの間にやら精進を忘れた人が増えておりますし、
「いただきます」
と、手を合わせる人も少なくなっております。
 沢山の人の手間のかかった食物、その命を、今一度考えたいものです。

2003年10月号影現寺だより

報恩講や永代経などのお寺でお馴染みの法要(報恩講は門徒さんのお宅でも勤めますが)でお話しましたが、皆様のご先祖の法要の後のご膳も、宴会じゃなくて、御斎です。

 

降誕会(ごうたんえ)に思ったこと

  5月が近づくと、
「今年も花祭りやね。ごんげはん、行かれるがやろ。8日だったっけ。」
(訳:今年も花祭りですね。住職さん行くのでしょ。8日でしたね。)
と、言われることがあります。

 富山市仏教連合会が、富山県民会館で(昔は公会堂でした)幼稚園児や父兄の皆さんと一緒に、仏教の祖であるお釈迦様の誕生を祝う式典があり、各宗派のお坊さん方がスタッフとして参加される為、父も昔からこの日は月忌参りをお休みさせてもらっていたのです。(勿論、一般参加も自由です)
 白い象を引っ張って歩く姿がテレビで放送されることもあるので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。

 父が仏教連合会の花祭りに長年参加しているからでしょうか、影現寺の門徒さんは、親鸞聖人の降誕会は知らなくても、お釈迦様の降誕会である花祭りは知っているようです。

 浄土真宗では、5月は宗祖降誕会(しゅうそごうたんえ)です。親鸞聖人のお誕生(5月21日/旧暦4月1日)をお祝いします。

 お釈迦様がお生まれになったからこそ、私たちは仏教に出会うことが出来た。
 同じように、親鸞聖人がいらっしゃったからこそ、浄土真宗のみ教えに出会うことができたのです。

 本山でも、別院でも、当寺院でもお参りがありますので、是非お越しください。

 とは言うものの……
「なかなか寺に足が向かない」
とか
「まだ早いから」
という声も耳にします。
 が、お寺の幼稚園は、なんだか皆さんに人気があるような気がします。
 私は家に一番近い幼稚園に通っていた
(あの頃は送迎バスとか普通なかったですし)のですが、友達の中には、少しくらい遠くても別院の幼稚園に通っていたと言う人もいます。現在でもお寺の幼稚園に通っている子供達も知っています。

 自分達はお寺に行かないけど…法事でもなければ手を合わせないけど、子供達はお寺の幼稚園。そしてお寺の子供達はいつの間にか手を合わせることを知っています。覚えています。
 幼稚園を選んだのは家族かもしれませんが、そのご縁で花祭りや藤祭り
(宗祖降誕会)などの行事に参加したり、別院前にある親鸞聖人像にちゃんとご挨拶したりしています。

 どうして、大人になった自分達だけが、
「まだ早い」
なのでしょう。

 月忌参りにうかがうと、幼い子供が一緒にお参りすることがあります。まだうまく喋れない歳でも、モゴモゴと
「南無南無ぅ〜」
と真似ながらも手を合わせます。
「えらいね〜」
と誉める私たち大人ですが、それだけで終わらず、私たちは子供の姿に何か教えられていることはないでしょうか。

 別院の徳風幼稚園を卒園した友達は、
「覚えてるよー、やっぱり。仏様に手を合わせたり歌うたったの。」
と、ふっとした時に言っていました。

 思い出したり、手を合わせる子供の姿を見たとき、ちょっと考えて欲しいのです。

 何も用が無い時に、普段行ったことがないお寺に突然行ってみるというのは、正直気が重いとは思います。そんなことを考えることすらなかった方もいらっしゃるかもしれません。
 こういう行事の時をキッカケに、
「よい機会だ」
と、思い切って足を運んでみてください。
 そして、親鸞聖人の開かれた浄土真宗のみ教えに触れていただきたいと思います。

2003年5月号影現寺だより

 

贅沢で綺麗な食事?

 今月のことば(2003年3月)で、日本人の食事に触れましたが、各家庭ではカレーライス・餃子・スパゲティー・グラタン・焼肉・ハンバーグ等、食材ではハム・チーズ・ピーマン等、挙げればきりが無い程、外国の食事をしています。勿論、日本風にアレンジはしていますが、これらのものを抜きにして、私の食事はありません。
 また、基本である和食にしても豊富になりました。いろんなものに食べ飽きて、今となれば珍味と称してゲテモノまで食べる人までいます。

 日本人の性格なのでしょうか、見た目に綺麗でなければならない食材。
 キュウリを出荷する農家ではまっすぐなキュウリを揃えなければならず、近所の農家からキュウリを借りてくるのを見たことがあります。箱に入れる都合もあるのでしょうが、曲がったものは売れにくいからです。
 また、白く漂白したレンコンが多いようですが、糸を引かないレンコンなら穴の空いたゴボウみたいな気がしますが、やはり綺麗なほうが好まれるのでしょう。
 一番気になるのは、葉物野菜です。キャベツや白菜等に虫が食べた穴がありません。
 趣味で菜園を持っている人の一番の苦労は、虫を採る事だと聞いています。売り物には虫はつかないのでしょうか。何度も消毒するしかありません。自分たちに害は無いのでしょうか。
 皆 知っているけれど、無頓着でいるのでしょう。

 昔読んだ本にありました。
 安い野菜を買って来て、わざわざ虫食いにしてから低農薬野菜と偽って売った悪者がいたそうです。何を信用していいのかわかりません。

 私はお酒を飲む時、刺身が何よりのご馳走です。養殖技術の発達で、いつも安く食べることができます。でも、その餌が悪いと言う人もいます。何をどうやって食べたらいいのか、わからなくなってきます。
 一時、外国産食材の過度の農薬使用が話題になりましたが、それも日本人の綺麗な形好みのせいだと思われます。

 私の幼馴染が沖縄の宮古島でマンゴー農園の手伝いをしています。
 そのハウスでは、虫の嫌う植物を乾燥したものと、手間だけで栽培しているそうです。消毒薬を使った方が安く楽に栽培できるそうですが、頑固に頑張っているそうです。が、虫食いのものは嫌われてしまうので、安く大量に出荷するものと儲けは同じだそうですが、これが現実なのです。

 綺麗で安く、沢山の種類を求める人が多いので、いつの間にか日本は食糧の一大輸入国になっています。ですから、世界中の食材が簡単に手に入ります。日本の物と思っていても、外国産のことさえあります。

 最初から文句ばかりになりましたが、大切なのことですから、皆でいろんな方向から考えていきたいものです。

 こんな事を考えたら、食べる物がなくなってしまう…困ったな('-`)ゞ

 ご門徒の松村文子さんが、
「身体によい食べ物を!」
と、頑張って面白い物を販売されました。
 りんご酢や梅酢を使い、化学調味料を使わず、低農薬5分づきの米やキビ、アワなどで作るユニークな押し寿司”立山の薬膳五穀押し寿司”です。2月24日の北日本新聞にも載っていましたので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。(予約制:076-464-2788)
 私も正月に食べてみましたが、美味しいものでした。
 県職員として食物・栄養に関する仕事をなさり、退職してからは念願の(今流行のベンチャー企業)「立山・食養の杜とやま」を設立し、社長といえば体裁はいいですが、朝早くから頑張って、私立幼稚園などへお弁当を納めているそうです。

住  職

2003年3月号影現寺だより