お引越し

 門徒さんが引越しされました。
 引越し前に月忌参りにうかがった時に、
「阿弥陀様とお仏壇を動かすのだから、何かお勤めをしてもらわないといけないでしょ」
と聞かれ、
「いよいよ、皆さん あちらへ移られるんですね〜」
と、お参りしてきました。

 以前にも書いたことがあると思いますが、阿弥陀様をお迎えして、阿弥陀様のお家であるお仏壇に安置する時、「入仏式」といって、お参りします。一般に、「魂入れ」とか「お性根入れ」とか呼ばれていますが、迷いや煩悩に満ちている私たちをお救い下さる阿弥陀様に、私たちが魂を入れたり出したりできるわけがありません。阿弥陀様をお迎えすることは、そのお宅にとってとても喜ばしいことですから、その喜びと、阿弥陀様のお徳を讃え、感謝の意味を込めてお勤めするのが「入仏式」なのです。

 また、今回のようにお仏壇を移動したり、新しいお仏壇に阿弥陀様を移す場合は、「遷座法要」「遷仏法要」とか「お移徒(おわたまし)という、引越しのお勤めをします。
 これもまた、お仏壇を動かすから魂を抜くとか、性根を抜くと言うことではありません。何もしないで動かしたら悪いことがおこるから、オマジナイの言葉を唱えるわけでもありません。
 私たちでも家を建て替えたら祝うでしょうし、引っ越せばまた新たな気持ちの区切りのようなものも起こってくるでしょう。阿弥陀様のお家も新しくなったり引っ越せば同じことです。

 できればこのようなお勤めの時は、特に大げさに飾り立てる必要はないででようけれども、五具足(蝋燭立て×2・花瓶×2・香炉)で、あでやかな打敷でお荘厳していただけたらと思います。

 また、こういう機会があれば、お仏壇の中を見直す機会にもなるのではないでしょうか。
 不必要なものは入っていないでしょうか。位牌や遺影や、その他の関係ないものが、いつの間にか阿弥陀様が見えないくらいに占領していませんか。
 お浄土を表すお仏壇。気がついたら阿弥陀様がソッチノケになっていた……ということがないように、日々の掃除の際にも、チェックしていただきたいものです。

2002年12月