蝋燭

 ご法事では、場合によっては赤い蝋燭(朱蝋)を用いることがあるので、ご自宅で勤めるとなると
「蝋燭は白ですか?赤でしょうか?」
と、聞かれることがあります。
 普段は白を用いておりますから、朱蝋の場合は
「わざわざ数本だけ買わなきゃいけないから、寺から持ってきますよ」
と、うちの寺の場合、申し上げることがあります。

 蝋燭には白蝋・朱蝋・金蝋・銀蝋があり、場合によって使い分けます。
「白と赤は見たことあるけど、金や銀もあるの?」
とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。

 普段の仏事には白ですが、例えば……お正月。旧年を無事過ごし、新しい年を迎える事ができたということで、全国的にお祝いムードが高い時期でもありますし、実際おめでたく迎えたいものです。ですからお正月のお勤めは朱蝋を用いています。
 また年忌法要にしても、
7回忌以上から朱蝋を用います。(目安ですが)33回忌や50回忌ともなれば、悲しみというよりは
「よくぞここまで勤める事ができた」
という思いもあるでしょう。
 
新しくお仏壇に阿弥陀様をお迎えしお仏壇を新調した時や、報恩講にも使います。

 銀蝋は白蝋に銀箔をはったもの。
 これは悲しみの極みである
葬儀や、追悼法要等の際に用いますから、もしかしたらご覧になったことがあるかもしれませんね。白蝋で代用することもあります。

 金蝋は白蝋に金箔をはったもので、とてもおめでたい時に用います。
 例えば、
お寺の落慶法要(建てた、改築した時の法要)や住職継職法要、仏前結婚式。
 
仏事といえば悲しいとか不幸とか暗いイメージがあるようですが、おめでたいこともあるということです。
 例えば、最近は結婚式そのものがファッション化しているようで、チャペルウエディングが(キリスト教徒かどうかは関係ないようですね)人気ですが、そうだとしても、お嫁さんが仏様の前に座ってお勤めする場合は金蝋をたてるというのも、よいのではないでしょうか?

2001年10月