花瓶と蝋燭立について

 報恩講シーズンが近づいてきました。(うちの辺りは10月から11月がお寺の報恩講です)
 「報恩講はお寺にお参りする行事」とだけ思ってらっしゃる方もあるようですが、ご自宅でもお仏壇をきれいに荘厳(お飾り)して、報恩講を勤めるのが理想的です。
 普段の月忌参りではご在宅の方だけがご一緒にお参りなさっていますが、こういう時は家族皆が仏間に集まって正信偈をお勤めします。
 しかし最近は、「報恩講のお勤めをお願いします」とおっしゃる門徒さんが少なくなりました……というか、核家族化の影響もあってか、ご存じないのかもしれませんね。

 さて、報恩講ばかりでなく、常にお仏壇のお飾りはなされているものですが、オリジナルな方が結構いらっしゃいますね。
 例えば、蝋燭立が一つに花瓶が一対だとか、蝋燭立一対に花瓶が一つだとかいう……お寺にお参りなさった方は内陣をご覧になればおわかりのことと思いますが、そのようなお飾りの仕方はありません。
 
蝋燭立て一つなら花瓶も一つ、蝋燭立一対なら花瓶も一対なのです。真中の香炉も入れて、『三具足』(花瓶・香炉・蝋燭立)『五具足』(花瓶・蝋燭立・香炉・蝋燭立・花瓶)といいます。
 普段は『三具足』でよいのです。法要のときは『五具足』にします。

 ちなみに、蝋燭立一つに花瓶一対、火舎という『四具足』というのも道具の中にはあるのですが、お仏壇サイズで飾ることはスペースの関係上、あまりありません。

 また、お仏壇の中に線香入れや念珠掛け用の人形、ライターやマッチなどを入れてらっしゃる場合もあるのですが、それは荘厳する仏具というより雑貨ですから、お仏壇の外に置くようにしましょう。お仏壇は物入れではないのです。

 お飾り云々より、お念仏することが大切であるとは思います。
 しかし、お念仏する私達の心が、ちゃんとお供えやお飾りに表れてくるのではないでしょうか。
 
手を合わせてお念仏することを大切に思うならば、お仏壇のお飾りなどのお世話にも、自然と気を配れるのではないでしょうか。

1999年10月