人は皆、愛せずにいられないのに、愛されずにはいられないのに、
愛は何ですか? とまともに考えてみると、意外にわからない。
 しかし、恋についてなら分かる。
ことばで「恋は何々だ」と言えなくても、恋の経験は誰にもある。
ところが、「私は今愛している」という実感は誰にもないようだ。 。 。 
あくまでも恋と愛を同じことにしないかぎり。
恋を愛と呼ぶことは普通だが、だから愛はなんなのか分からない。
恋を卒業することがあっても、愛はいつまでも学ばねばならない。
恋は自然に芽生え、燃え、あまく、激しく、人をとりこにする。
愛は努力に努力を重ねて作っていかなければならない。
恋は姿が美しいが、どことなく、病んでいる。 
愛はわが身を削り、やせこけているが、しっかり者。
そして、愛はとりこになるどころか、自由でないと生きられない。
ボランティヤは、たとえば、自発的でなければならない。
恋は二人のもの、愛はみんなのため。
恋は好きなもの同士、愛は偏ってしまえば矛盾する。
恋の片思いは虚しい、愛は片思いであるほど純粋 。 。 。 
愛の反対語は利己心、恋の反対語は ?  
愛の類語はやさしさ、慈しみ、慈悲、親孝行、愛国心、
友情、愛情、夫婦愛、兄弟愛、思いやり、親切、分かち合い、
助け合い、かわいがる、大切にする 。 。 。 
恋の類語は、惚れる、首っ丈になる、好きになる、そして
恋愛、愛 。 。 。  愛の名前を好んで借りる。 
恋は愛にあこがれている。 自分のもろさを知っているかのように、
恋は愛に生まれ変わろうとする。